広告主インタビュー 株式会社 創味食品【2024年度 CM好感度 躍進企業No.1】
リスクを恐れずにチャレンジングな企画を
ウッチャンナンチャンを起用した『創味 焼肉のたれ』のCMなどが好評で、CM好感度 躍進企業の首位となった創味食品。代表取締役社長を務めながらCM制作を手掛ける山田佑樹氏に、広告制作の狙いをお聞きした。
(取材:2025年5月8日)
(取材:2025年5月8日)
【 CM INDEX 2025年6月号に掲載された記事をご紹介します。】
代表取締役社長 兼 マーケティング本部長
山田 佑樹 氏
1979年京都府生まれ、2001年立命館大学理工学部卒。同年に協和発酵工業(現 三菱商事ライフサイエンス)入社。2006年に同社を退社後、創味食品へ入社。2011年に取締役就任などを経て、2016年より現職。
山田 佑樹 氏
1979年京都府生まれ、2001年立命館大学理工学部卒。同年に協和発酵工業(現 三菱商事ライフサイエンス)入社。2006年に同社を退社後、創味食品へ入社。2011年に取締役就任などを経て、2016年より現職。
ウッチャンナンチャン起用のCMでスコアアップ
キャスティングとテイストが絶妙にマッチ
— ウッチャンナンチャン起用のCMが多くの支持を集め、2024年度のCM好感度 躍進企業1位となりました
数ある企業の中から「躍進企業」ナンバーワンに選出されたことは非常に光栄であり、お客さまやお取引先の企業をはじめ、CM制作に関わっていただいた関係者の皆さまに深く感謝を申し上げたいと思います。今回の結果に満足することなく、今後もお客さまに寄り添い、信頼されるブランド作り、商品作りに一層注力していきたいという思いを強くしております。
この躍進は“安心感”と“共感力”をお持ちで、認知度がほぼ100%といえるウッチャンナンチャンに出演を快諾いただいたことが大きな要因だと思います。最近はソロで活動することの多いおふたりですが、CMにはコンビでそろって出演いただくことができました。さらに、彼らの原点であるコント仕立てでやりたいというおふたりの希望もあり、商品の「品質の良さ」や「本格感」を、コントを通じて自然なコミュニケーションで伝えることに注力しました。放映後は「親しみがわく」 「商品がぐっと身近に感じられる」といったポジティブな反響を多くいただき、我々としても手応えを感じていました。
この躍進は“安心感”と“共感力”をお持ちで、認知度がほぼ100%といえるウッチャンナンチャンに出演を快諾いただいたことが大きな要因だと思います。最近はソロで活動することの多いおふたりですが、CMにはコンビでそろって出演いただくことができました。さらに、彼らの原点であるコント仕立てでやりたいというおふたりの希望もあり、商品の「品質の良さ」や「本格感」を、コントを通じて自然なコミュニケーションで伝えることに注力しました。放映後は「親しみがわく」 「商品がぐっと身近に感じられる」といったポジティブな反響を多くいただき、我々としても手応えを感じていました。
リスクを恐れずチャレンジ 少人数のスタッフで突き抜けたCMを作り上げる
— CM制作において心掛けていることとは
一番大事なものは「インパクト」だと考えています。CMを見たくてテレビを見る人はいない上に、15秒という短いスパンで多くのCMが流れてくる中で、自分たちの映像に目を留めてもらわなければなりません。そのインパクトを引き出すため、企画の際に社内で心掛けているのは「少人数で取り組む」ことです。多くの人間の意見を取り入れれば取り入れるほど、特徴のないものになってしまう。これは弊社の商品開発でもいえることですが、1~2名のスタッフがこだわりと情熱を持って、尖った個性的なものを作り上げることを大切にしています。
そして、CMに関しては私がマーケティング本部長として企画の立ち上げから参加し、スタジオでの仮編集や本編集には私ひとりで立ち合います。多くの人間を引き連れてくる企業さんもあると思いますが、それだと現場でひと言も話す機会がない人も出てきますよね。極端に見えるかもしれませんが、私としてはこの少人数のスタイルがいいと考えています。これまでには失敗もありましたけれど、それがインパクトを目指すということですから。当たり障りのない結果が出るというのは冒険していないということだと思います。試行錯誤する中で、うまくいったものは突き抜けて話題になることを目指しています。繰り返しになりますが、商品開発についても同じ考えで取り組んでおり、実際にまったく売れなかったケースもありますが、それでいいと思っています。
そういう意味では、今年4月から展開しているハコネーゼのCMには、「明太子」「ナポリ♡たん」 「ポ・ルチーニ」「ボンゴレ・ビアン子」「イ・カスミ」「カル・ボナラ」というCMオリジナルVTuberを出演させているのですが・・・。これは失敗する可能性があるかもしれない(笑)。CM好感度 躍進企業として評価いただきましたが、もしCM好感度“低下”企業ランキングが発表されるのであれば、今年は上位に入っているかもしれません(笑)。
そして、CMに関しては私がマーケティング本部長として企画の立ち上げから参加し、スタジオでの仮編集や本編集には私ひとりで立ち合います。多くの人間を引き連れてくる企業さんもあると思いますが、それだと現場でひと言も話す機会がない人も出てきますよね。極端に見えるかもしれませんが、私としてはこの少人数のスタイルがいいと考えています。これまでには失敗もありましたけれど、それがインパクトを目指すということですから。当たり障りのない結果が出るというのは冒険していないということだと思います。試行錯誤する中で、うまくいったものは突き抜けて話題になることを目指しています。繰り返しになりますが、商品開発についても同じ考えで取り組んでおり、実際にまったく売れなかったケースもありますが、それでいいと思っています。
そういう意味では、今年4月から展開しているハコネーゼのCMには、「明太子」「ナポリ♡たん」 「ポ・ルチーニ」「ボンゴレ・ビアン子」「イ・カスミ」「カル・ボナラ」というCMオリジナルVTuberを出演させているのですが・・・。これは失敗する可能性があるかもしれない(笑)。CM好感度 躍進企業として評価いただきましたが、もしCM好感度“低下”企業ランキングが発表されるのであれば、今年は上位に入っているかもしれません(笑)。
— 商品名も個性的な印象です。例えば『ハコネーゼ』というネーミングはどのように決定されたのでしょうか
広告会社から複数提案があった中で最終的に決めたのは私です。商品を包装する箱がないのでハコネーゼ。今となっては「いい名前だね」と好意的にほめてくださる方も増えていますが、当初はかなり反対されました。ハコネーゼに関しては売れ行きも好調ですので「それ見たことか」と思わないでもないですが、ほかの商品で失敗していることもありますので(笑)。こういうのは、1勝1敗1分けでいいんです。
商品の厳選と広告の集中投下で売り上げを伸長
新旧問わずさまざまなメディアを活用
— 貴社事業におけるテレビCMの役割とは
全世代に商品を訴求するという意味で、若い世代に対するデジタルメディアやSNSを活用した取り組みには、もちろん力を入れています。一方で、創味食品にとって地元である京都には国内外問わず多くの観光客が訪れるという点で、新幹線ホームの看板やトレインジャック、ラッピングバスといった従来の交通広告のパワーを見直すこともしています。とにかくメディアが多様化する今、新旧問わずさまざまな媒体でいろいろなことをやっていくべきだと思いますね。
とはいえ、テレビCMが我々にとって依然スペシャルな媒体であることは間違いありません。現状、我々もさまざまなメディアを活用していますが、広告を打てばすぐに目に見える数字で売り上げに跳ね返ってくるのはテレビだけですから。若者のテレビ離れや視聴者数が減っているといった話も耳にしますが、テレビはまだまだ強い訴求力を持っている最大のメディアという認識です。
実際にスーパーマーケットの方からも、テレビCMを打つと商品がすぐに売れるメーカーだとよく言っていただきます。それは商品を取捨選択して広告を一気に投下するやり方がひとつの要因だと思っています。複数商品のCMを同時に展開する企業もありますが、そもそも1作品のCMを作るだけでもかなりの労力を要するのに、我々がいくつも作ろうとすると、ひとつに費やせるエネルギーが落ちてしまうのは目に見えていますので。
とはいえ、テレビCMが我々にとって依然スペシャルな媒体であることは間違いありません。現状、我々もさまざまなメディアを活用していますが、広告を打てばすぐに目に見える数字で売り上げに跳ね返ってくるのはテレビだけですから。若者のテレビ離れや視聴者数が減っているといった話も耳にしますが、テレビはまだまだ強い訴求力を持っている最大のメディアという認識です。
実際にスーパーマーケットの方からも、テレビCMを打つと商品がすぐに売れるメーカーだとよく言っていただきます。それは商品を取捨選択して広告を一気に投下するやり方がひとつの要因だと思っています。複数商品のCMを同時に展開する企業もありますが、そもそも1作品のCMを作るだけでもかなりの労力を要するのに、我々がいくつも作ろうとすると、ひとつに費やせるエネルギーが落ちてしまうのは目に見えていますので。
提案の中から選ぶのではなく
マーケティングもCMも「モノづくり」の精神で
— 今後のコミュニケーション活動の展望について
今後については正直に申し上げますと日々どんなCMを作るか悩んでいます。CM制作時によくあるのは、制作会社や代理店側からの提案がきっかけという流れだと思いますが、それに乗っかるだけではダメだと思います。自分に言い聞かせる意味でも言っているのですが、マーケティングは、もらった提案の中から“選ぶ”のが仕事ではありません。最終的に現場でCMを形にするのは制作会社側かもしれませんが、そこまでは商品と同じで“モノづくり”の気持ちでやるべきだと。ですので、商品開発と同じようにパワーを使います。目指しているのはこれまでに見たことがないCMにすることなので、毎回かなりのエネルギーがかかるんです。よく考えると、たくさんのCMをご覧になっているCM総合研究所の皆さんと一緒に広告制作をしても面白いかもしれない。話題にもなりそうですし。うちはコケても大丈夫ですよ(笑)。
代表的なCM
創味焼肉のたれ「焼肉通」篇(2024年4月1日オンエア開始)
ウッチャンナンチャンの内村光良が店主を務める老舗焼肉店で美食家役の南原清隆が商品とともに焼肉を味わう『創味焼肉のたれ』のCMが40歳以上の男女を中心に支持を集めた。また彼らがロックバンドのメンバーを演じる『ハコネーゼ』のCMも好調だった。
ウッチャンナンチャンの内村光良が店主を務める老舗焼肉店で美食家役の南原清隆が商品とともに焼肉を味わう『創味焼肉のたれ』のCMが40歳以上の男女を中心に支持を集めた。また彼らがロックバンドのメンバーを演じる『ハコネーゼ』のCMも好調だった。
文:是澤励(This)
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。