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JAC AWARD 2023 グランプリ受賞者のインタビュー 【ベストプラクティス部門 西澤 賢弥氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2023年度はコロナ禍で開催が中止されていた最終審査会のリアルイベントを4年ぶりに実施した。
 本記事ではベストプラクティス部門でグランプリに輝いた西澤賢弥氏(株式会社 KEY pro)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、今後挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2024年2月号に掲載された記事をご紹介します。】

制約の中でもみんなの正解が集まる1点を探し続ける

西澤賢弥氏
株式会社 KEY pro
プロダクションマネージャー
1996年生まれ。愛媛県出身。2021年に新卒としてKEY pro入社。「みんなの最適な折衷案を見つける」を信条として、現在はTVCMやウェブムービーを中心に映像制作を行っている。
東温市スペシャルムービー「東温ラブストーリー」
愛媛県東温市出身で映画監督・脚本家の渡部亮平監督とガールズバンド・きみとバンドがタッグを組み、同バンドのギターボーカルで同市観光大使の清原梨央が主演するプロモーション動画。

— 受賞作品の制作エピソードと反響について
 僕の地元である愛媛県東温市のPRキャンペーンで、同郷の渡部亮平監督からお声がけいただきました。東温市出身の元アイドルで、現在は地元を中心に活動中の清原梨央さんが出演するミュージックビデオ風の動画という企画ながら予算は100万円しかないと聞いて、不安もありましたが、絶対に安っぽいものにはしたくないと思いました。観光PRなのでさまざまな場所で撮影する必要があり、まずはロケ地の費用を抑えるために、フリーペーパーを発行しているえひめリビング新聞社さんにご協力いただくことを提案しました。その結果、21箇所すべてのロケ地を無償で撮影することができたんです。予算を抑える一方で、映像のクオリティーだけは妥協できないと感じていましたので、日頃から信頼を寄せているカメラマンの宮本佳史さんにお願いしました。
 そのほか本作の重要なポイントになるダンスについても振付師を付けるのは予算内では難しく、ロケ地のひとつである坊ちゃん劇場さんを通して、振り付けができる役者の方を紹介していただくことができたのですが、すべて無償でお願いするのはさすがに申し訳なくなったんですね。そこでその方をはじめ、地元で演劇活動をされている方々に出演いただくといった双方にメリットのあるプロモーション動画にできないかと考えました。出演者のみなさんが地元への愛を感じさせる熱のこもったダンスを披露してくださり、クオリティーのアップにつながったと感じています。
 実は監督と映像を確認していたときに清原さんの顔に小さなニキビを見つけたんです。肌修整の費用がないことは分かっていましたが、僕としては地元に貢献しようと頑張っている彼女が出来上がりを見て悲しむことだけは避けたかった。そこでエディターに特別な機材がなくてもできる修正方法を習って、動画を画像に置き換えて1枚ずつ消しました。丸3日間かかりましたが、たとえ気付く人がいなかったとしても諦めなくて良かったと思います。そして最終的には制作費が予算を下回ったのでプロデューサーの城殿(裕樹氏)と相談し、貢献度の高かったスタッフへギャランティーを上乗せすることができました。

各分野のプロフェッショナルをつなぎ
より良い映像作品作りを目指す

— 今後の展望についてお聞かせください
 僕の仕事は各分野のプロフェッショナルをつなげていくことです。「良い映像を作る」という共通のゴールに向かって、それぞれの提案を予算や制約の中でどう形にしていくか。ひとりの意見に偏ってはいけませんし、誰かひとりでも「幸せじゃない」と感じる仕事にはしたくありません。ですから「予算的に厳しい」などと返すのではなく、それぞれの意図を理解した上でみんなの正解が集まる1点を諦めずに探し、最適な折衷案を出すことを心掛けています。それが僕の強みだと考えていますので、これまで以上により良い提案ができるよう知識や経験を積み重ねていきたいです。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。