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JAC AWARD 2023 グランプリ受賞者のインタビュー 【プロデューサー部門 大野 瑞樹氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2023年度はコロナ禍で開催が中止されていた最終審査会のリアルイベントを4年ぶりに実施した。
 本記事ではプロデューサー部門でグランプリに輝いた大野瑞樹氏(株式会社 ギークピクチュアズ)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、今後挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2024年2月号に掲載された記事をご紹介します。】

幅広い分野の仕事を手掛けプロデュースに還元していく

大野瑞樹氏
株式会社 ギークピクチュアズ
geekpark
プロデューサー
東京都出身。青春をサッカーに捧げ(高校・全国3位、大学・全国ベスト16)、大手証券会社を経て、2017年ギークピクチュアズ入社。2020年よりプロデューサーとしてオールジャンルの映像制作で活躍中。
Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome
羽生結弦が制作総指揮、MIKIKOが演出を務めたスケート史上初の東京ドーム公演。羽生の演技とともに、映像やバンド演奏、空間演出を組み合わせ、新しいエンターテインメントを創出した。

— 羽生結弦さんのアイスショーでの受賞です
 昨年2月開催の『Yuzuru Hanyu ICE STORY2023 “GIFT” at Tokyo Dome』は従来のアイスショーとは一線を画す、スポーツと音楽、映像が融合した新しいエンターテインメントです。羽生さんの演技と映像の25プログラムで構成され、「ICE STORY」とある通り、彼が心に秘めた思いやアスリートとしての葛藤、感動など、羽生結弦というひとりの人間のストーリーを表現しています。

お客さんの反応をイメージしながら新しいエンタメを作り上げる

 羽生さん自身がショーの構成など制作総指揮も担当されているのですが、彼の描くストーリーを映像化し、“GIFT”としてお客さんに届けることがプロデューサーとしての僕の仕事でした。ストーリーを何度も読み込むことで羽生さんの伝えたい思いを解釈しながら、映像をイメージするだけでなく、お客さんの反応まで思い浮かべ、自分の中に落とし込んでいく。ただ映像作家に任せるのではなく、具体的にオーダーできるように僕自身がイニシアティブを握り、スタッフとともにショーを作り上げていきました。その場限りの本番に向けてすべてのスタッフが全力を注いだので、東京ドームに集まった3万人を超えるお客さんの歓声に興奮しましたし、「新しいエンタメを届けることができた」という実感も湧き、誇らしい気持ちになりました。
 これまでのグランプリは大きな広告賞を受賞するようなテレビCMのプロデューサーから選ばれることが多かった中、今回の受賞は自分のプロデュース能力が評価されたと同時に、自分が目指すプロデューサー像を認めてもらえたようで、うれしかったですね。受賞後は社内外を問わずお祝いの声をいただいたのですが、一番の反響は当社のXがバズったことです(笑)。グランプリ受賞のポストを見つけた羽生さんのファンの方から直接メッセージが届くなど、普段の業務ではありえないほどの反響をいただき、非常に光栄でした。羽生さんがプロ転向後にパフォーマー・表現者として立つ場をご本人と一緒に作り、ファンの皆さまに喜んでいただけたことは何よりだと感じました。
— 今後のお仕事について
 以前から意識してきたことですが、あらゆる映像コンテンツを“プロデュース”できるようになることが目標です。そのため広告、ミュージックビデオ、ライブ、ドラマ、映画など、積極的に企画開発を行い、形にしていきたいです。羽生さんのショーでもライブ演出などの経験が活きましたが、例えば広告制作の際にも音楽に強ければ頼っていただけるかもしれないですし、いまドラマなどで挑戦中のストーリーテリングのノウハウは連続もののCMや長尺のウェブCMなどに活きるかもしれません。これまで培ってきたノウハウやクリエイターとの出会いが好循環を生み、作品のクオリティーが上がっていく実感がありますので、予算の大小に関わらずさまざまなジャンルの仕事をプロデュースすることを大事に、“プロの映像の力”を信じている人の助けとなれるように頑張っていきたいです。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。