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広告主インタビュー Hyundai Mobility Japan株式会社


憧れの未来としての今をEVと重ねて描く

日本に再参入を果たしたヒョンデは、今年11月に電気自動車(以下EV)『KONA』を発売。かつては近未来のアイコンだったEVが実用化された今を“シティポップ”をテーマにしたCMで表現した。同社のコミュニケーション戦略について任珉柱(イム・ミンジュ)氏にお話をうかがった。
(取材:2023年11月9日)
【 CM INDEX 2023年12月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
任 珉柱氏
Hyundai Mobility Japan株式会社
マーケティングチーム Senior Manager
Samsung(サムスン)電子DM研究所デザイナー、SKテレコム Human Centered Innovationコンサルタントとして従事し、2011年にHyundai Motor Company / Hyundai Mobility Japanに入社し、マーケティング戦略を担当。
代表的なCM
KONA「憧れのままに」篇(2023年11月1日オンエア開始)
yamaとキタニタツヤの初のコラボ楽曲『憧れのままに』が流れる中、夜の街を疾走するKONAや運転する男性、助手席に座る女性が80年代を思わせるタッチのアニメで描かれる。「思い描いていた形がここに」のナレーションで実写に切り替わり、アニメと同様の場面が映される。ラストは「憧れのままに」というネオンサインをKONAの給電で点灯させるシーンで締めくくった。

世界中に愛されるKONAを日本で発売
優れたスタイリングとユーザビリティーを誇る

— 昨年2月に日本に再参入し、今年11月に『KONA』の販売を開始しました
 日本への再参入に当たり、EVのみの取り扱い、オンラインでの販売、この2点をプリンシパルとしました。参入時にEVの『IONIQ 5(アイオニック・ファイブ)』、水素電気自動車の『NEXO(ネッソ)』を投入し、今回発売した『KONA(コナ)』は2台目のEVになります。
 コンパクトSUVのKONAはヨーロッパやアメリカの若者に人気で、韓国でもファーストカーとして選ばれたり、女性にも使いやすかったりと非常に親しまれています。ヒョンデのSUVには「Tucson(ツーソン)」や「Santa Fe(サンタフェ)」などリゾート地を名付けているのですが、KONAはハワイ島のコナの通り、マリンスポーツなどアクティブな生活をされている方をイメージしています。
 グローバルではさまざまなパワートレインで展開していますが、日本で販売する今回のモデルはEVにフォーカスして設計された第2世代のモデルになります。IONIQ 5と同じく“ピクセル”をモチーフとした「ピクセルグラフィック」と「シームレスホライゾンランプ」を採用した高いデザイン性や、3D表示されるARナビゲーションなど、未来を感じさせる要素が詰まっているほか、EVの特長であるバッテリーとしての用途にも力を入れており、「V2L」機能の搭載で車内だけでなく車外からも電力が供給できるため、アウトドアなどのさまざまなシーンで活用できるなど、ユーザビリティーにも優れています。

過去の憧れが現実となった今をシティポップの再解釈で表現

— CMの狙い、“シティポップ”をテーマとした意図とは
 日本で本格的にビジネスを展開するのが13年ぶりのためブランド認知を高めることがひとつです。また日本のEVマーケットはガソリン車などに比べると伸びしろがあるカテゴリーなので、EVの魅力を伝えたいという思いがありました。日本ではEVとお客さまに距離があり、「EVは未来の車」だと感じている方が多いのですが、その未来は近づいていて、昔の憧れが今は実現している。そのことを表現するために選んだのが世界的に流行しているシティポップです。またミレニアム、Z世代がレトロなものを再解釈して2020年代の今に楽しむようになっています。こうしたトレンドと未来的なKONAを結びつけると面白いCMになるのではと考えました。 CMのターゲットは20、30代となりますが、購入いただく方は40代以上の方も多く、そうした世代が慣れ親しんできた文化という点もシティポップを選んだ理由です。
 シティポップの過去の名曲を使うことも検討しましたが、若い世代の共感を呼ぶためには、今の時代を生きる感覚が重要だと思い、ライジングスターであるyamaさんとキタニタツヤさんに楽曲制作をお願いしました。若いおふたりがシティポップをどのように捉え、表現するのか。人それぞれが抱くシティポップのイメージとギャップが生じる懸念もあり、我々としても冒険ではありましたが、まさに“シティポップの新曲”とも言うべき素晴らしいサウンドに仕上げてくださいました。
 映像には“懐かしさ”を効果的に表現するためにアニメを使用しました。シティポップのジャケットにはイラストが使われるなど、アニメはシティポップの一部ですよね。またヒョンデ、KONAともに日本では認知がそれほど高くないため、日本でなじみ深いアニメを活用することで親近感を持っていただきたいと考えました。またアニメから実写に切り替わる構成で、過去から未来としての今という反転を表現しています。楽曲のタイトルにも使われている「憧れのままに」というコピーには、今を生きるお客さまの日々をKONAが隣で応援したいという我々の思いを込めています。
— そのほかのコミュニケーション施策について
 オンライン販売のためデジタルとの親和性が高いお客さまが多いのですが、裾野を広げるためにテレビで認知を獲得し、その上でターゲティングをしたデジタルでのコミュニケーションを展開しています。テレビでいえば一瞬見るだけでも印象に残せるというオーディオビジュアルの持つ強さも広告メディアとしての魅力といえます。
 メディアを通したコミュニケーションだけでなく、体験も重視しています。直営のショールームである『Hyundai Customer Experience Center 横浜』はもちろん、ホテルのアスコット丸の内東京やA PIT オートバックス東雲などに開設した『Hyundai Mobility Lounge』、代官山の蔦屋書店でのイベント、yamaさんとキタニタツヤさんにご出演いただき六本木ヒルズで開催したライブステージなど、生活の中でKONAに触れていただく機会を設けてまいりました。またカーシェアリングの『Anyca』や『Jネットレンタカー』とパートナーシップを結び、お客さまが気軽に試乗できるよう、従来の車とは異なるアプローチでタッチポイントを設計しています。今後もより多くの方にKONAに興味を抱いていただき、その魅力を体感していただけるよう務めてまいります。
写真:長谷川大
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。