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広告主インタビュー 花王株式会社


リブランディングを通して愛される存在に

花王は飲料ブランド『ヘルシア』の発売20周年を機に、パッケージの刷新をはじめとしたリブランディングを実施。人々のヘルシーライフに寄り添い、愛されるブランドとして選ばれることを目指したという広告戦略について、ブランドマネジャーの柳田雄一氏にお話をうかがった。
(取材:2023年11月15日)
【 CM INDEX 2023年12月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
柳田雄一氏
花王株式会社
ライフケア事業部門 ヘルス&ウェエルネス事業部 ヘルシア ブランドマネジャー
2005年に花王株式会社に入社。国内での人材開発担当および海外(主にアジア圏)での駐在経験を経て、2016年から事業を扱うブランドマーケティング部門へ。2022年4月より現職。
代表的なCMなど
ヘルシア「実況応援」篇(2023年11月1日オンエア開始)
商品を模した3体のヘルシアキャラクターが登場し、朝の通勤時の男性の様子を人形を使って紹介する。「おっと!選んだのは階段だ」「ちょっとしたヘルシーを応援していきたいですね」などの語りで展開し、最後は男性が階段を登る実写の映像に「いいぞ!いいぞ!その調子。」というコピーを重ねた。このほか、キャラクターが人々の健康を応援したいと語らうCMも放送した。

ヘルシア 交通広告
ヘルシーライフの周辺に存在する“あるある”や“正直な気持ち”を題材としたヘルシアたちによるチャーミングな応援メッセージを数多く掲出した。通勤・通学中の人々に、さまざまな応援メッセージを通してヘルシアの個性を伝達しながら“肩に力の入っていないヘルシー行動”のきっかけ作りを狙ったもので、都内8路線での電車ジャックを展開した。

“ヘルシーアシスト”というブランドの原点に立ち帰る

— 『ヘルシア』リブランディングの背景について
 『ヘルシア』ブランドは2003年の発売以来、体脂肪対策を訴求した特保飲料のパイオニアとして市場を形成し、世の中に広く注目いただいてまいりました。
 ですが、近年は競合商品が多く市場に参入してきたほか、「脂肪を減らす」をコンセプトとしたお茶以外の飲料カテゴリーも増えるなど、お客さまの中でヘルシアの存在感やブランドの個性が見えづらい状況でした。そうした中で他の商品との違いをお客さまへ十分にお伝えしきれず、ブランドのユニークネスが失われてきてしまったという背景があります。そこでヘルシアのユニークネスを取り戻すべく、ブランドの由来である「ヘルシーアシスト」という原点に立ち帰ることといたしました。お客さまが健康のゴールを決め、その応援をヘルシアブランドが行う。こうした思いを起点に、リブランディングを実施する運びとなりました。
— ヘルシーライフを最も身近な場所でアシストすることとは
 茶カテキン583㎎を12週間連続で毎日摂取すると腹部内臓脂肪面積が摂取前と比べて9.5%低減するというヒト試験結果があるものの、これは継続飲用が前提で、1本飲んだだけでは効果を実感できません。そう考えるとお客さまが長く健康であるためには、一人ひとりの人生に併走してほしいと思っていただくことが重要です。そのためにはヘルシアブランドが人々のヘルシーライフに寄り添い、お客さまに愛されるブランドになるべきだと考えました。また「体脂肪に効く」などのメッセージを20年間継続した結果、“機能効果が高い”イメージを作ることができた一方で、“古くておじさん向け”の飲み物という印象になり、自分事化されないという課題が発生しました。そこでヘルシアは“親しみがあり、頼りがいのある存在”になることを目指しました。

ヘルシアの新しいステージに向け“商品の人格化”に舵を切る

— 「いいぞ!いいぞ!その調子。」に込めた思いとは
 このカテゴリーの商品は頑張っていない人に「頑張ろうよ」と呼びかけるような施策になりがちですが、興味のない人のモチベーションを上げるのは至難の業です。むしろターゲット層を少し狭めたとしても、健康行動を実践している方々を応援していきたいという思いがありました。ところがお客さまのお話をうかがってみると、食生活を変えたり、ひと駅歩いたりと努力をされている一方、これでいいのかという不安を多くの方が抱えていらっしゃいました。こうしたインサイトを元にクリエイティブチームと作り出したのが「いいぞ!いいぞ!その調子。」という合言葉です。このコピーには実際に健康行動をしている皆さんを応援し、その方々の背中を押していきたいという思いを込めています。
— CMにはヘルシアのキャラクターが登場しています
 ヘルシアブランドそのものに対してアセットを蓄積したいと考え、広告では“商品の人格化”に舵を切りました。一時的な興味獲得ではなく、ブランドイメージを世の中に定着させるという観点から、商品そのものをキャラクター化しました。商品が人格を持つことでキャラクターを含めヘルシアと感情的なつながりを構築することができればと思います。
古久保 龍士氏(株式会社電通 アートディレクター/プランナー)
 パッケージをそのまま主人公にするところからのスタートで、メガネや帽子、応援のポンポンといった最低限の小物を使ったほかは、ぷっくりした手足などの造形でいかにかわいらしく見せるかを意識しました。また、表情による感情表現ができないため、声優さんの力を借り、黒沢ともよさん、竹井亮介さん、武谷公雄さんの声で会話劇を展開しつつ商品を紹介する構成としています。

健康行動を応援するサービスと連携したコミュニケーションを実施

 今年の春に日常の健康行動を応援したいという思いから実施した、駅の階段を上ることのメリットを伝える交通広告が好評でしたので、今回、 CMと合わせて都内8路線で電車ジャック広告を展開しました。キャラクターによる健康行動の応援のメッセージを掲出したもので、SNSで話題になるなど大きな反響をいただきました。
 今回のリブランディングを通してヘルシアは、「ヘルシーライフに寄り添い、応援するブランド」へシフトしました。当社のライフケア事業は健康に関するソリューションやサービスを提供していますので、今後はヘルシアとこれらの健康行動を応援するサービスと連携しながらコミュニケーションを展開したいと考えています。引き続き「ヘルシーアシスト」の観点から、ヘルシアがますますお客さまに長く愛されるブランドとなるよう取り組んでまいります。
写真:長谷川大
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。