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Leader's Interview 後藤 裕幸氏(株式会社グローバルトラストネットワークス)


外国人の生活を“ぜんぶ”サポート
もっと日本を好きになる動機を作りたい

家賃保証サービスをはじめ在日外国人の生活全般をサポートする株式会社グローバルトラストネットワークス(GTN)は同社アンバサダーのホラン千秋によるナレーションとともに、日本で暮らし、夢を持ち、学び、働いている外国人の日々を描くCMをオンエアした。言葉や文化の違いから生じる困難に対処する同社サービスや今回のCMで伝えたいメッセージ、今後の事業活動などについて代表取締役社長の後藤裕幸氏にお話をうかがった。
(取材:2023年9月14日 聞き手:CM総合研究所 代表・関根心太郎)
【 CM INDEX 2023年10月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
後藤裕幸氏
株式会社グローバルトラストネットワークス
代表取締役社長
大学在学時にITベンチャーを起業、2003年にアジア市場調査及び進出コンサルティング会社を設立、2006年4月にバイアウト。同年7月に外国人専門の生活課題全般の解決を行うソーシャルベンチャー、株式会社グローバルトラストネットワークスを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。

— 貴社の事業内容についてお教えください
 当社は在日外国人の生活に必要なさまざまなサービスを提供する会社で、2006年にこの事業を立ち上げました。きっかけは私が約20人の保証人をしていた経験からです。当時、住居契約で保証人がいないために困っている外国人が多く、我々が信用を補完することで彼らの住居を確保していきたいという強い思いがありました。

出演者は実際に日本で働く人たち
CMを通して認知プラス共感を醸成

— 日本で生活する外国人を描いた新CMの制作意図や企画のポイントをお聞かせください
 コロナ禍で外国人の入国が難しくなった当初は、外国人材の定着支援に力を入れていました。が、まだまだ外国人採用自体が進んでいないのが実態です。定着支援より日本人の外国人に対する認識改善が先であり、彼らが日本で貢献し、同じ人間として頑張って日本のプラスになっているという気付きを促すべきと考えました。
 今回のCMを制作するに当たり、広告会社さんと「認知プラス共感」を醸成したいと話し合い、外国人を主役にすることで認知だけでなく共感も得られるよう、「外国人=日本の力になる人」と定義しました。彼らは日本の社会や文化に貢献してくれる存在で、当社は彼らの力になり、個々のニーズに応えるサービスを提供したいと考えています。外国人という言葉からは多様なイメージが想起されます。留学生、就労者、スポーツ選手、研究者、実習生などそれぞれ日本での役割や目標が違います。そこで「外国人の日本生活ぜんぶサポーター」というコピーで、外国人が日本で快適に暮らすために必要なことは何でもお手伝いするという当社の思いを込めると同時に、彼らの日常生活や活躍ぶりを描くことで、日本人とのつながりや理解を深めたいと考えました。
 CMには日本で働くさまざまな職業の外国人が出演していますが、そこには多くの企業の協力がありました。例えばコンビニエンスストアで働く人の場合、私が理事を務める一般社団法人セブングローバルリンケージという団体を通して、セブンーイレブンさんにご協力いただきました。また前作にご出演いただいたホラン千秋さんには我々の思いを届けるメッセンジャーとしてナレーションをお願いしました。
 現在は外国人に対し先進的に取り組む九州エリアでテレビCMを展開しており、エリアマーケティングとしてタクシー広告も実施しています。GTNについて、経営層や人事、総務部門の方にどの程度認知され、どのようなイメージを持たれるかのパフォーマンスを観測し、他の地域にも順次拡大していく予定です。
 テレビ東京の『ガイアの夜明け』に出演しましたので、TVerでは経営層向けに同局の『カンブリア宮殿』、外国人を主役にした『YOUは何しに日本へ?』などの番組にCMを出稿しています。一時的な大量出稿で終えてしまうのではなく、文明堂さんを見習って地道に続けていきたいと思います。

日本への興味を喚起し
行きたい、暮らしたいという流れを作る

— 今後の事業の展望についてお聞かせください
 日本は少子高齢化が進み、仕事はあっても従事する人が不足しているという課題を抱えています。一方、特にアフリカでは人口が増えており、地球規模では30年後は100億人に届くといわれます。欧米諸国では人口維持、労働力確保のために移民施策に取り組み、外国人労働者に柔軟な制度を導入しているケースもありますが、日本は移民政策に消極的で、賃金も伸びていないことから、外国人労働者を引き付けることが難しい。そこで私たちは、日本は安全で暮らしやすく、自由や権利が保護されているといった魅力をもっと伝えていきたいと思っています。
 外国人との暮らし方をどう伝え、世論形成していくかで日本の未来が変わると思うんですね。当然、我々だけでは成し得ないので企業や行政とアライアンスやパートナーシップを進めており、例えば、日本の病院での意思疎通の課題については、AIや我々の医療通訳を組み合わせたGTNクリニックなどを構想しています。このほか、お金を借りる、家を買う、住宅ローンを組むといった金融にも解決すべき課題が残っています。
 また、日本への理解を深めてもらうことを目的に海外に拠点を置いており、韓国に2つ、モンゴル、ベトナムのハノイ、ホーチミン、ダナンの計6事業所で展開しています。今後10年以内に台湾、ネパール、インド、スリランカ、インドネシアなど30拠点の開設を構想中です。
 今後は日本で暮らしている方へのサポートに加え、日本にまだ来たことがない人が日本を好きになる動機を作る必要があります。韓国は戦略的にコンテンツを振興し音楽もドラマも強くなりました。日本に興味を持ち、行ってみたい、暮らしてみたいという流れを戦略的に進めていかなければなりません。
 一方で日本語を学びたいというニーズは高いのですが、実は講師が不足しています。我々はこの方面の専門家ではないので、日本語教育のプロフェッショナルと一緒に日本語教育を輸出し学んでもらう、興味を持ってもらう取り組みも進めています。今後はさらに拠点を広げ、日本の良さも発信していこうと考えています。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。