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広告主インタビュー 日本マクドナルド株式会社【2022年度 CM好感度 ベスト・アドバタイザー】


懐の深いブランド価値を伝えるために

数多くのヒットCMを世に送り出し、企業別CM好感度総合1位である「ベスト・アドバタイザー」に輝いた日本マクドナルド。テレビCM作りに対する熱い思いと今後の展望を同社のズナイデン房子氏が語る。
(取材:2023年5月10日)
【 CM INDEX 2023年6月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
ズナイデン房子氏
日本マクドナルド株式会社
取締役 上席執行役員 CMO
2018年10月に日本マクドナルド株式会社入社。入社から一貫して「LIKEからLOVEへ」というビジョンのもと広告活動を展開。マクドナルドへのLOVEを感じていただけるよう、人の記憶に残る広告活動に力を入れている。
代表的なCM
家族といっしょに。「ピクルスのリレー」篇(2022年8月9日オンエア開始)
風吹ジュンと尾野真千子が母娘を演じ、ハンバーガーのピクルスを親が子どもに代わって食べるという“愛のリレー”を描いた。優香が子育て中の母親を好演する企業CMや、伊藤沙莉、志尊淳共演の『三角チョコパイ』、木村拓哉ら出演の『ひるまック』などもヒットした。

クリエイターや店舗のクルーなど
みんなの力で獲得した初のCM好感度No.1

— まず「ベスト・アドバタイザー」になられたご感想から
 ありがとうございます。クリエイターやチームの方々の力はもちろんですが、それだけでなく、全国に約3000ある店舗のクルー、約19万人の皆さんが、お客さまに素晴らしい店舗体験を提供し、マクドナルドというブランドの価値を高めてくれているおかげであり、みんなでいただいたご支持だと思います。店舗の皆さんにも賞をいただいたことを報告します。
 ブランドとお客さまとの関係というのは、人と人との関係とすごく似ているなと常々考えています。人と人との関係で愛する人というのは代替がききません。それと同じように、多くのお客さまにとってマクドナルドというブランドは、「私にとってほかのブランドでは替えがきかないよね」と思っていただきたいと頑張っているのですが、今回多くのお客さまからご支持をいただけたことで、その代替できない「LOVE」に一歩近づけたのかなと感じることができ、本当にうれしいです。
— 22年度は111本のCMを制作。共通のコンセプトは
 マクドナルドというブランドは、お子さまからお年を召したお客さままで、どんなお客さまでも、いつでもどんな時でも、最高のホスピタリティでお迎えするという懐の深いブランドです。「いつも傍らにいてくれる、寄り添ってくれるブランドなんだ」と感じていただけたらいいな、そこがマクドナルドが持つブランドとしての財産ではないかなと思っています。
 この普遍的なブランド価値を崩さず、すべてのお客さまに寄り添うようなCM作りをすることを、ぶれることなく心掛けています。
— 22年度は家族をテーマにしたCMなど、ブランドそのものを訴えるCMにも注力されたようです
 「マックでこういうことあったよね」と、楽しかった体験をお客さまに思い起こしていただけることをブランドとしては大事に思っています。ですから、単に商品をプロモーションするだけでなく、体験を通してブランドに共感していただけるようなメッセージの発信には、これからも力を入れていきたいですね。
— 10年前のデータではハッピーセットのCM好感度が高く、若年層の支持がグンと上がっていましたが、22年度はほとんどの年齢層でトップです
 マクドナルドの懐の深さをどう表現していくかを考えた結果として、幅広い年代の方へのクリエイティブになりました。その成果が出ているということですね。
 また、テレビCMに関しては、若いお客さまだけでなく、大人のお客さまにもマクドナルドをもっと愛していただきたいという思いが強く、その意味で大人のお客さまに絶大な影響力があるテレビCMの活用はとても重要だと思っています。
 もちろん、10代、20代前半の方にはテレビとデジタルを活用します。それぞれの特徴を生かしながら、どのお客さまにお届けしたいのかによっていろいろ考えて展開しています。

価値観の変化を把握しブランド価値を発信し続ける

— CM制作はどのように行われているのでしょうか
 日本には素晴らしいクリエイターの方がたくさんいらっしゃいますので、お一人お一人とその都度密度の濃い話し合いをします。ただ、制作の最初から最後までやり取りはしますが、あまり細かいことは言わずにお任せしています。
 なかでも私が気を遣っていることは、どういうブランドを目指すか、あるいはお客さまの価値観が変化する中、何を発信したいのかという、こちらの思いをきちんとお伝えして、クリエイターの方々に才能を発揮していただくことです。この、思いを伝えるということをすごく大切にしています。
 クリエイターの皆さんはその思いに応えるため、私たちと同等、あるいはそれ以上のパッションを持って取り組んでくださっていますね。クリエイティブディレクターの方がそういうふうにパッションを持ってくださると、チームの皆さんも素晴らしい仕事をしてくださる。そういう形で一作品一作品、数は多いですが、走り続ける感じで取り組んでいます。
— 価値観の変化とはどのようなことでしょうか
 例えばコロナ禍以降の話ですが、より人間として基本的な、あるいは普遍的な、何が自分にとって大事なのかということをたくさんのお客さまがお考えになられたのではないかと。家族や友人との関わりですとか、本当に自分がやりたいことってなんだろうとか。
 そういったお客さまの変化を見逃さないようにして、価値観が移っていく中で、お客さまがマクドナルドに求めていらっしゃることって何だろうと考え、探し当てて、それをクリエイティブに生かしていくということを特にここ3年続けています。
 お客さまの価値観の変化を捉える手立てとしては、定期的なリサーチなどのほか、例えば、いろいろな会社さまのプロモーションやマーケティング活動などに対する消費者の皆さまの反応を、常に好奇心を持って見ています。
— 最後に今後の展望をお聞かせください
 私たちが大事にしていることは、大きく移りゆくお客さまの価値観、お客さまがマクドナルドに求めていらっしゃるものの変化を正確に捉え、それに対してクリエイティブでブランド価値、ブランドメッセージをいかに発信していくのかということであり、そのためにはお客さまの気持ちや価値観の変化を捉える感覚力を磨き続けていかなければなりません。
 そのようにしてお客さまに共感していただけるクリエイティブを発信し続けながら、19万人のクルーの皆さんと一緒に「LOVE」により近づいていく。それには早道はなく、ここで終わりという到達点もありませんから、とにかく常に感覚力を磨き、クリエイティブ力をアップし、継続してチャレンジしていくことですね。大変ですが、チームの皆さんと一緒に、情熱を持って取り組んでいきたいです。
文:坂本俊夫 写真:髙野宏治
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。