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JAC AWARD 2022 グランプリ受賞者のインタビュー 【プロダクションマネージャー部門 武中志門氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2022年度より制作実費の上限を設けた「ディレクター個人応募部門」が新設され、映像コンテンツ制作を支えるすべての人を対象としたアワードへと進化を遂げている。
 本記事では各部門のグランプリ受賞者から武中志門氏(太陽企画 株式会社)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2023年4月号に掲載された記事をご紹介します。】

作り手が楽しみ、面白がることで、感動を人に届けたい

武中志門氏
太陽企画 株式会社
プロデュース戦略センター
プロダクションマネージャー
1994年5月30日生まれ。3歳よりクラシックバレエをはじめ、一発勝負の舞台で“度胸”と“自分が楽しむ大切さ”を学ぶ。2017年に太陽企画入社。夢は映画で世界を変えること。以後お見知りおきを。
日本マクドナルド/サムライマック「新年を迎えるサムライたちへ」篇
幕末の志士を乗せて大海原を進む帆船を舞台に、「日本の大人たちへ」のコピーに続いて堺雅人が「やりたいことを今やろう」などと語るCM。「大人を楽しめ」というメッセージを伝えた。

— 受賞作品の日本マクドナルド/サムライマック「新年を迎えるサムライたちへ」篇について
 3年ほど前からシリーズとして続いていた『サムライマック』チームに、本作で初めて参加しました。監督の北田一真さん、カメラマンの岡村良憲さんは求めるクオリティーが常に高く、いいものを作るために妥協しない方たちなので新参者の僕はとにかく舐められたくなかった。限られた時間と予算の中で「いいものをつくるため」に僕の言葉に耳を傾けてもらいたくて、監督の休日に直接会いに行き、僕の情熱をぶつけることから始めました。監督が僕の想いを真っ直ぐ受け止めてくれてすごくうれしかったです。また作品のリアリティーと臨場感を追求するために、船のモデルとなった「咸臨丸」の模型を使ってiPhoneでアングルを探りました。ここで明確に監督のイメージを具現化したことで、ダイナミックなカメラワークとハイクオリティーな美術・CGを作ることに成功しました。当初はCGで想定していた巨大な赤い帆を実物で製作したり、衣装の家紋を紋章上絵師の波戸場承龍先生に作っていただいたり、志士たちのカツラも作り物感が出てしまわないよう、実在した短髪の侍の写真をキャストに似た人で探して地毛を使ったスタイリングにしたり、細部にまで力を入れました。そのほか撮影当日は堺さんの衣装合わせで見かけて「着てみたい!」と思った飛脚の衣装で現場に立ち、皆さんに笑っていただけました。そして、シリーズの続篇ではなんと“食いしん坊侍”として出演も果たしました(笑)。

無理難題やピンチに遭遇したら
「じゃあ、どうする?」と自分に問いかける

— 受賞の反響と今後の展望をお聞かせください
 正直ほっとしました。実は前年、僕が古畑任三郎のものまねをするプレゼン動画でエントリーをしたのですが、ふざけすぎていたのか箸にも棒にも掛からず…。それが悔しくて「来年は絶対グランプリを獲る」と公言していたんです。受賞後はお世話になった多くの方々よりメッセージをいただき、なかでも僕が担当している案件のクライアントの社長やCDからそれぞれ電報を頂戴したことは本当にうれしかったです。
 僕は「作り手が楽しんだり、感動したりせずに作ったもので、人の心が動かせるわけがない」と考えています。CM制作の現場は毎回新しい発見や人に出会えることが刺激的で、常に無理難題やピンチはありますが、壁にぶつかったときは「じゃあ、どうする?」と自分に問いかけ前を向きます。見た人の心の変化を想像しながら、どうすればより良くできるかを考え続けることが映像制作の醍醐味だと僕は思っています。
 映画が大好きでこの仕事に就いたこともあり、映画を通して世界を変えることが僕の目標です。見た人がその日一日を楽しい気分で過ごせたり、新しいことに挑戦したいと思えたり、一人ひとりの世界が少しずつ良くなれば世界全体もきっと良い方向に変わっていく。そんな作品を世に送り出す映画プロデューサーとして、僕はこの世界に名前を残します。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。