グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  CM INDEX WEB >  Creator Interview 齋藤太郎氏(株式会社dof)前編

Creator Interview 齋藤太郎氏(株式会社dof)前編


課題解決を通して世の中をハッピーに

株式会社dofを設立後、サントリー『角ハイボール』をはじめ、8月度のCM好感度調査で好評価を獲得したMobility Technologies『GO』など、コミュニケーション・デザイナーとしてさまざまな企業のブランディングを手掛ける齋藤太郎氏。GOのコミュニケーション活動の狙いや、課題の本質を見極めるために大切にしている考え方についてお聞きした。
(収録:2022年9月26日)
【 CM INDEX 2022年10月号に掲載された記事をご紹介します。】
※後編は11月1日(火)に公開

齋藤太郎氏
株式会社dof 代表
コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブ・ディレクター
株式会社 電通に入社後、10年間の勤務を経て2005年に「文化と価値の創造」を生業とする株式会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、コミュニケーションの川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。著書『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』(東洋経済新報社)。
クリエイティブ・ディレクターの大島征夫さまとdofを設立された経緯をお教えください
 dof ※1の設立は2005年なんですが、その年は数々の優れた広告を手掛けてきたクリエイティブ・ディレクターの大島征夫さんが定年を迎えるタイミングでした。当時僕は電通で化粧品・トイレタリー企業担当の営業マンとして大島さんのお仕事を間近で拝見しており、こんなに優秀なトップクリエイターが引退生活に入るなんてもったいない、この先も大島さんと一緒に仕事をしてもっと多くのことを学びたいと思ったんですね。僕は電通で過ごした10年間の中でクリエイティブの部署での経験は一切なかったのですが、メディアバイイングや営業の仕事を通して広告ビジネスやメディアの力学を理解していましたので、この人と一緒なら絶対に新しい何かを生み出せる。そんな思いから大島さんを説得し、ふたりでdofを立ち上げることとなりました。
 大島さんはご自身がトップクリエイターであるだけでなく、電通在籍時に佐々木宏さんや岡康道さん、佐藤雅彦さんといった広告界を代表するクリエイターを何人も育てられた方でもいらっしゃって、僕は勝手に「広告業界の長嶋茂雄」と呼んでいます(笑)。独立に当たっては、こうした名クリエイターが能力に見合った正当な報酬を得ることが当たり前の世の中にしたい!という考えもありました。現在も広告業界はコミッションで収益を得ることの方が多いのですが、クリエイティブの質にコミットするフィーの仕組みの方がフェアですし、優れた才能の持ち主が存分に力を発揮できると思っています。 
 また当時は4マス媒体を中心とした広告ビジネスの在り方が変わりつつあり、広告クリエイティブだけの力で生活者の心を動かしてモノを売ることがすでに難しい状況でした。ちょうど2005年は楽天やライブドアといった企業が世の中を騒がせていた頃で、インターネットによってメディアはもちろん、人々のライフスタイルがこれから劇的に変化していくんじゃないかという予感があったんですね。事業戦略やマーケティングも含めた総合的なコミュニケーションが注目されはじめたのもこの頃で、今が時代の変わり目であるならば自分が主体的に変化を起こせる場所にいた方が面白そうだと感じたことも、独立を決めた理由のひとつです。
 dofはいわゆるクリエイティブ・エージェンシーではなく、設立時より「コミュニケーション・デザイン」という領域を自社の強みとしています。そもそもクライアントの課題解決のゴールは広告を展開することではなく、結果を出すことですよね。成果さえ出せば広告は必要でない場合もある。企業やブランドの抱える課題の本質を見極めた上でゴールにたどり着くための仮説を立て、解決策として最適なコミュニケーションを実行していくことが僕たちの仕事の領域だと捉えています。
※1.株式会社dof
齋藤太郎氏と大島征夫氏が2005年に創業。主な仕事にサントリー『角ハイボール』をはじめとした同社のウイスキーブランドのブランディング、資生堂のコーポレートスローガン「一瞬も 一生も 美しく」、Mobility Technologies『GO』、ソースネクスト『ポケトーク』など。最近は投資も含めたベンチャー企業の支援にも精力的に取り組んでいる。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。