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広告主インタビュー KDDI 株式会社


お客さまとのコミュニケーションを通してブランドを育む

2021年度に通算7度目のCM好感度 ベスト・アドバタイザーに輝いたKDDI 株式会社。『au』『povo』『UQ』というマルチブランドでのコミュニケーションを展開する上でのCMの役割や表現の狙い、今後の展望について同社の合澤智子氏にお話をうかがった。
(収録:2022年4月28日)
【 CM INDEX 2022年6月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
合澤智子氏
KDDI 株式会社
ブランド・コミュニケーション本部
コミュニケーションデザイン部
部長
au「三太郎シリーズ:進め! そっちだ!」篇(2022年1月1日オンエア開始)
和ぬかの歌うオリジナル楽曲をBGMに、「進め! そっちだ!」をコピーに展開。渋谷の街角で女性がRPGをスマホで遊ぶ場面に始まり、三太郎と桃姫が鬼退治に向かう様子や巨大な鬼と戦う姿が実写とCGを融合した映像で描かれる。そして離れた場所にいるかぐや姫や乙姫らの応援が光となって“鬼の金棒”に注がれ、桃姫が金棒で巨大な鬼を倒すストーリーだ。

— 2021年度のベスト・アドバタイザーに輝きました。貴社ブランドの広告戦略についてお聞かせください
 2021年度はマルチブランドでのコミュニケーション展開が本格化し、お客さまとの接点も広がったことを実感しています。そうした中で、ベスト・アドバタイザーに選ばれたことを非常にありがたく思っております。
 他社を含めスマホの料金体系が多様化していますので、CMでは「結局どれがいいのか分からない」という印象を与えないよう、各ブランドのコンセプトとお客さま像をもとにコミュニケーションを設計しています。なかでも『au』はKDDIを代表するブランドですので、世代を問わずすべてのお客さまに身近に感じていただき、また、ワクワクを提案し続ける企業でありたいという思いを伝えることがミッションだと感じています。松田翔太さんたちに出演いただいている「三太郎」シリーズは2015年の立ち上げ当初から単にサービスを訴求するのではなく、常にお客さまに寄り添い、親しみやすさやワクワクを感じていただけるコミュニケーションを目指してまいりました。今年の年始にオンエアしたCMでは「進め!そっちだ!」というメッセージのもと、RPGのような同時代性のあるモチーフと映像表現を取り入れました。CMソングは毎年多くの関心を寄せていただくのですが、今回のCMソングを歌っていただいた和ぬかさんはSNSで活躍されている方ということもあり、若年層からの反響が大きかったですね。シリーズを開始した当初と最近ではCMに反応してくださる視聴者の年代も多少異なるかと思いますが、毎年ー貫して「元気をもらった」などの好意的なコメントをいただき、年始恒例のCMがお客さまとの貴重な接点となっていることを実感しています。
 また神木隆之介さんたちが登場する「意識高すぎ! 高杉くん」シリーズは、現代に暮らす等身大の人々を描くことで各種サービスの利便性に共感いただくのが狙いです。この1年は決済サービスの『au PAY』のCMを中心に、アニメ『鬼滅の刃』と「au 5G」とのコラボや、Netflixさまといったパートナー企業さまとコラボしたCMを展開しました。今後もauブランドのさまざまな価値をお伝えできるようサービスの拡充に合わせて積極的に展開していく予定です。

インサイトを捉えたコミュニケーションでブランドのベネフィットを強くアピール

 『povo』はギガやサービスをトッピングするようにお客さまご自身でゼロからプランを組み立てることができるオンライン専用のブランドです。広瀬アリスさんと鈴鹿央士さんに出演いただいた『povo2.0』の「povo姉」シリーズはお客さまのインサイトをテーマとしたCMです。お客さま像についてクリエイターの皆さまとディスカッションする中で浮かんできたのは、いわゆるビジネスパーソンではなく、通信料金を気にしながらも休日は家にこもってスマホで動画を見ているような、いまどきのデジタルリテラシーの高い若者で、そうした人物像を等身大で演じられる方として自然と鈴鹿さんのお名前が挙がりました。広瀬さんは一瞬でその場の空気を変えてくださるような華やさがあり、“povo姉”という自由でどこか不思議なキャラクターを愛らしく演じていただけそうだと思いました。おふたりは本当の姉弟のような仲の良さを表現してくださいますので、CMのフレームにマッチしたキャスティングだと自負しています。
 『UQ』は格安スマホながら質の高い通信サービスをご利用いただける点を強みに、シンプルなサービスを合理的に選択したいというお客さまに向けたブランドと位置付けています。満島ひかりさんと松田龍平さんにご出演いただいている「UQUEEN」シリーズは昨年9月にスタートして間もなくUQブランドとして初の月間CM好感度総合1位となり、非常に光栄でした。“UQUEEN”はちょっと強引で決断力があるという設定ですが、その中にもチャーミングで愛着の湧くキャラクターとして描くことを心掛けています。広告に限らず日々のコミュニケーションにおいても、一方的に意見を押しつけられると、耳をふさぎたくなってしまいますよね(笑)。ですので、UQUEENの語る言葉には“常に国民(お客さま)を一番に考えている”と感じられることが重要だと考えています。
— 貴社にとってのCMの役割、および今後の展望についてお教えください
 CMはお客さまに企業姿勢をお伝えできる重要な接点であり、UQUEENの「好評かどうかを決めるのは我々ではない。お客さまだ」というセリフにもあるように、ブランドは企業側だけで作るものではないと常々感じております。三太郎シリーズが長く続いているのも素晴らしいクリエイターに恵まれたこと、そして多くの方々に親しんでいただけているからこそです。
 今春のCMで鬼退治のシーンがありましたが、「“鬼ちゃん”(菅田将暉)が鬼退治に行っていいの?」といったSNSでの声を目にしたことが、「実はあの鬼は鬼ちゃんの中学校の同級生だった!」という企画につながっています。このようにお客さまが普段の生活の中でふと話題にしてくださるようなコミュニケーションが理想ですね。そして私たちもそうした声にお応えし続けることで、お客さまとの関係性を作り、ブランドが育まれていく。弊社が提供している通信事業というサービスは目には見えません。だからこそより一層、お客さまにベネフィットを実感いただくためにはどのように表現し、お伝えするべきか、今後もクリエイターの皆さまとともに考えていきたいと思います。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。