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Creator Interview 福部明浩氏(株式会社catch)後編


ブランドがど真ん中にあるCMを

2021年度のTCCグランプリ、ACCグランプリに輝いた大塚製薬『カロリーメイト』など、数多くのヒットCMを手掛けている福部明浩氏。日本マクドナルドの「家族といっしょに。」シリーズや、綾瀬はるからが出演する『UNIQLO』の「LifeとWear」シリーズといった話題作の狙いをはじめ、ブランドと生活者の思いに寄り添う広告作りについてお聞きした。
(収録:2021年10月12日)
【 CM INDEX 2021年11月号に掲載された記事を2回に分けてご紹介します。(後編)】
— 「ふだん着の日が、人生になる。」をコピーに展開するUNIQLOのCMシリーズについて
 綾瀬はるかさんを「LifeWear」スペシャルアンバサダーに起用し桑田佳祐さんのヒット曲をBGMに展開するCMで、佐々木宏さんを中心に福里真一さん、浜辺明弘さんという強力なメンバーと一緒に担当させていただいています。作品ごとに役割が異なり、直近では綾瀬さんが『エクストラファインメリノ』のセーターを洗濯機で洗うCMや、綾瀬さんと鈴鹿央士さんが共演する『ウルトラライトダウン』のCMなどを僕がメインで担当しています。このほか印象深いのはこの春に放送した『エアリズムインナー』のCMです。女性同士のカップルの日常に「ふたりがしたいことは、みんなが普段着でしていること。ただ、それだけなのだ」という綾瀬さんの語りを重ねたものです。UNIQLOでは“LifeWear”を国籍や人種、性別、年齢を超えたあらゆる人のための“究極の普段着”と定義しているので、多様性というテーマは非常に親和性が高いんですね。ですので、彼女たちが望んでいるのはパレードのような特別なことではなくて、誰もが当たり前に普段着でやっていることなんだよというメッセージにはうそがなく、UNIQLOが語るからこそ説得力のある本物の言葉として響いたのではないかと思っています。また本シリーズの立ち上げ時には新聞広告にも使われた「ふだん着の日が、人生になる。」というコピーを書かせていただきました。このフレーズを考えたとき、人生の最後に走馬灯のように思い出すのはハレの日ではなく何気ない日常だとすると、その風景の中にいる人はUNIQLOの服を着ている可能性が高いと思ったんです。ここから普段着は人生を彩るハイライトになり、日常生活をより快適で豊かなものにするというCMシリーズのコンセプトが生まれたような気がします。
— これからの広告作りについて
 海外の見知らぬ街でマクドナルドの看板を見つけると、不思議とほっとしますよね。言葉が通じない異国の街角にも長く親しんだメニューがそこに確実にあるから。同様に、コロナ禍に限らず不安な時代にはブランドの安心感や信頼性が重視されるのではないでしょうか。販促系の広告も増えていますが、どんなにお得な情報をアピールしても生活者との間に長期的な関係性を築くことは難しいと個人的には思います。複雑化する社会の中でブランドが長く愛されるという意味でも、異国で出会うマックの看板のように、偶然目にした人がほっとしたり楽しくなったりするCMを作っていきたいですね。もしマクドナルドが早い、安いだけをコンセプトにコミュニケーションをしていたら、海外であの看板を見てもあまり心が動かないかもしれません。また最近はエモーショナルな物語と商品を無理やり掛け合わせたようなCMを時々目にしますが、視聴者はそこにあるちょっとしたズレを敏感に察知して、残念な印象すら抱いてしまうことがあると思うんです。どんな商品やブランドにも必ず存在意義や固有の価値があります。だからこそ、そこを丁寧に見つけ、丁寧に届けるお手伝いをしたいですね。
福部明浩氏 株式会社catch クリエイティブディレクター/コピーライター
京都大学工学部卒。1998年博報堂入社。2013年catchを設立。主な仕事に大塚製薬『カロリーメイト』、日清食品『どん兵衛』、キリンビール『淡麗グリーンラベル』『麒麟特製レモンサワー』『ホームタップ』、日本マクドナルド、ユニクロ、QUOカードpayなど。ADC賞、テレビ広告電通賞、ACCグランプリ、TCCグランプリ、ギャラクシー賞など受賞多数。著作に絵本『いちにちおもちゃ』など
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。