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広告主インタビュー KDDI株式会社


UQ mobileのベネフィットを強くシンプルに伝える

KDDI株式会社は新たに満島ひかり、松田龍平を起用して『UQ mobile』の新CMシリーズ「UQUEEN」を9月より放送している。新CM開始の経緯や豪華な世界観で展開するクリエイティブの狙いを中心に、同社のコミュニケーション戦略について合澤智子氏にお話をうかがった。
(収録:2021年9月8日)
【 CM INDEX 2021年10月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
合澤智子氏
KDDI株式会社 宣伝部 メディア・クリエイティブ企画室 室長
UQUEEN「登場」篇(2021年9月1日オンエア開始)
“UQ殿”を舞台に、満島ひかりが女王様気質の“UQUEEN”、松田龍平が執事を演じるシリーズの第1弾。UQUEENが「UQ」のロゴをデコレーションしたスマホカバーをつけたスマホを手に「これからのスマホはすべて、この私が決める!」「反対意見のある人は、足の指を挙げてくださーい」などと人々に宣言する内容だ。スマホ料金を月々990円にするという案の見直しを執事に懇願されるも、UQUEENが「リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ」と答える作品も放送した。

広告への期待感や信頼を醸成しお客さまとの接点を作ることが重要

—新CMシリーズ「UQUEEN」を立ち上げた経緯、およびCMの企画意図についてお教え願います
 『UQ mobile』は「シンプルを、みんなに。」というブランドスローガンのもと、誰にとっても分かりやすく、高品質なサービスをお客さまにご提供してまいりました。広告活動の面では2016年に開始した「三姉妹」シリーズのCMがおかげさまで好評をいただいたこともあり、UQ mobileというブランドの存在が世の中に浸透しつつあるといった手応えを感じております。
 一方、UQ mobileといえば格安スマホというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、昨年10月にKDDIへ事業が継承されMVNOからMNOへ移行したことでより質の高い通信サービスを提供するブランドとして新たなステージを迎えています。また5Gサービスの提供開始といったスマホ市場の発展に伴い、価格やつながりやすさに加えてブランドへの信頼感、合理的なサービス内容など、お客さまに求められる価値も多様化しているのが現状です。当社では『au』、『povo』も展開しておりますが、UQ mobleはシンプルなサービスを合理的に選択したいというユーザーに向けたブランドとして位置付けています。さまざまな選択肢が生まれ複雑化する通信業界を背景に、UQ mobileの価値をより多くの生活者へアピールするには広告活動を通して当ブランドならではのベネフィットをこれまで以上にストレートに発信していくことが必要だと考え、新CMの立ち上げに至りました。
— キャスティング、クリエイティブの工夫点とは
 新CMはクリエイティブ・ディレクターの篠原誠さんをはじめ、これまで三姉妹シリーズを手掛けてくださった制作チームも含め引き続き担当いただいています。チームの皆さまにはベネフィットをシンプルに伝えるだけでなく表現としての強さが欲しいことや、ブランド名の連呼で認知を図るのではなく、信頼感や説得力を醸成するフレームを目指していることなどを相談させていただきました。その後さまざまな角度から話し合う中で提案いただいたのがクイーンを主人公とする企画でした。
 ちょっと強引で決断力があるという“UQUEEN”の設定はインパクトがある反面、威圧感を与えないかと心配する声もありましたが、細部に至るまで検討を重ねた結果、芯の強さと愛嬌を兼ね備えたこの上なくチャーミングなキャラクターが誕生しました。公式サイトでは「国民の声を聞いていないようで聞いている。」「いいものが好き。安くていいものはもっと好き。」といった「UQUEEN 10カ条」を公開しており、CMと合わせてご覧いただければ国民思いでまっすぐな彼女の人柄がさらに深く理解いただけると思います。また「リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ」と物事の核心を突く発言をするなど、我々の日常生活では口にしづらいことをズバッと言い切る姿も多くの方に共感いただけるポイントではないでしょうか。撮影時は強さとかわいらしさを絶妙なバランスで表現する満島ひかりさんの演技力に圧倒されました。松田龍平さんはUQUEENに振り回されながらも常にポーカーフェースで彼女を支える執事という役柄を完璧に演じられ、最高のキャスティングが実現したと自負しています。ビジュアル面では圧倒的な画力を意識しました。グラフィカルな表現が親しまれていた三姉妹シリーズの“ビューティー感”を継続し、華やかで重厚な世界観を作ることでUQUEENと執事のウィットに富んだ掛け合いの面白さを際立たせ、訴求するベネフィットやサービスへの信頼感を醸成することを狙ったものです。“UQ殿”は現代の日本のどこかという設定ですが、中世ヨーロッパを連想させる世界観のため、古く見えない工夫を散りばめています。現代風にUQカラーにデコレーションした王冠やスマホカバー、UQUEENの自撮りをする際のしぐさやハート型のホクロなど、ヘアメイクや美術、演出のディテールまで注目いただければと思います。
 CM以外ではデジタル広告や交通広告を展開したほか、Twitterで『跡部景吾(テニスの王子様)』『日清ラ王』『キングジム』といった“王族”関連の名称を含む13ブランドとの「#王族系企業コラボ」を実現しました。その結果、“王族”系企業からUQUEEN宛に届いたお祝いの言葉がTwitterを中心に話題化していきました。CMオンエア後は以前TBSのドラマで共演されていた満島さんと松田さんの起用を喜ぶファンの方からのメッセージや今後のストーリーを期待する声など好意的な反響を多数いただき、非常にありがたく思っております。
— 貴社がコミュニケーション活動を展開する上で大切にされている考え方をお聞かせください
 第2弾の「懇願」篇では対象のでんきまたはインターネットと合わせて契約すると家族全員が月額990円からスマホを利用できる『自宅セット割』を訴求しています。サービスの理解促進というよりも、視聴者のアテンションの獲得に注力しました。本作に限らず広告は複雑な情報環境の隙間で接触するものですので、言いたいことを詰め込まず、お気に入りのキャラクターのセリフなど“お客さまに何かひとつでも持ち帰っていただくこと”を常に意識しています。「CMが好きだからUQ mobileを選ぶ」「次の展開が楽しみ」など広告への期待感や信頼を醸成しながら生活者との接点を作り、多くの方にブランドを好きになっていただくことが当社の事業発展につながるコミュニケーション活動の役割だと考えています。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。