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BRAND OF THE YEAR 2021・インタビュー 日清食品 株式会社


日清食品株式会社は「イカかなYes!イカじゃないYes!」のフレーズが印象的な『カップヌードル シーフードヌードル』のアニメーションCMがヒットし、2020年11月度には『カップヌードル』ブランドとして23年ぶりのCM好感度総合1位に輝いた。新たな表現に挑み続ける同社の広告戦略について、代表取締役社長の安藤徳隆氏にお話をうかがった。
(収録:2021年11月15日)
【 CM INDEX 2022年1月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
安藤徳隆氏 代表取締役社長
慶應義塾大学大学院で理工学を専攻。2007年日清食品に入社。経営戦略部などを経て、2015年から現職。2016年に日清食品ホールディングス代表取締役副社長・COO就任

日清食品
2021年度の代表的なCM
「ほぼイカ登場」篇
『シーフードヌードル』に手足が生えたキャラクターたちが謎の巨大生物“ほぼイカ”に勝負を挑むも、触手で次々に真っ二つにされる様子を描くアニメーションCM。早見優の『夏色のナンシー』のメロディーで「♪イカかなYes!イカじゃないYes!」などと繰り返す替え歌で展開し、最後は早見が無言で麺をすする姿を映した。2020年11月度に商品別CM好感度総合1位に輝いた。

CMの最大の目的は商品が売れること
“スルメサイクル”でマインドシェアを上げる

— 9つの分割画面で展開した『カップヌードル』ブランドのCMなど、独創的なCMを制作する狙いは
 8種類の『カップヌードル』を全部まとめてアピールしたかったので、画面を分割して8本のCMを同時に流してしまおうと制作したのが「8つの味」篇です。日清食品のCMは一見、面白さだけを狙って作っているように思われるかもしれませんが、実は違うんです。「商品が売れる」ことを目的としてすべてのブランドコミュニケーションを組み立てており、テレビCMは宣伝効率を最大化する起点に位置づけています。
 当社には「スルメサイクル」と呼んでいるフレームワークがあります。日清食品らしいエッジの効いたテレビCMは「空中戦」、店頭での営業活動、販促活動が「地上戦」、その2つをつなぐ役割を果たすのが「サイバー戦」です。一度見ただけでは理解できないテレビCMは、ネットで再視聴されます。そして、CMには誰かに話したくなるようなフックがたくさんあるので、Twitterなどで「日清のCM面白い」「こんな仕掛けがある」と拡散され、CMに盛り込んだ小ネタを分析するまとめサイトが作られていきます。こうした話題に触れた人はマインドシェアが高まりますので、店頭で商品を選ぶ際に日清食品のブランドが自然と想起され、売り上げアップにつながるという仕組みです。この「スルメサイクル」を効果的に回すため、宣伝部、マーケティング部、営業部が連携し、CMのオンエア、SNSでの話題化、店頭での商品陳列の最適なタイミングを常に計っています。

熱量とスピード感をもって企画を形に
違和感が日清食品らしいテンポを生む

— 視聴者を振り向かせる映像表現のアイデアはどのように生まれているのでしょうか
 ブランドコミュニケーションに関しては、私と宣伝部で週1回の定例会議を行っていて、その場で即興的にアイデアを出し合っています。会議はすべてオープンにしており、若手のマーケターや営業の担当者など、他部署の人間も自由に参加でき、そこで笑いが起きたネタは熱の冷めないうちにどんどんと企画として固めていきます。私自身がTikTokやInstagramを眺めているときに引っかかりのあったコンテンツが、アイデアの起点になることも少なくありません。『カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質』の「カプヌのPRO」篇は、まさにそうしたCMで、動画クリエイターの“はじめまして松尾です”さんのアニメーションとシンガーソングライター・眉村ちあきさんの楽曲が生み出す独特な世界観をそのまま活かしています。おじさん世代が説教くさいコピーをひねり出すより、SNS上などで若者たちが慣れ親しんでいるコンテンツにブランドをなじませていく方が共感を得やすいからです。ですので、SNSなどで気になったコンテンツは即座にチームに共有して、何が人の心を動かすポイントなのかを分解して考え、アイデアやエッセンスをCMに採り入れています。
 また、表現面では間合いを大切にしています。たとえば、早見優さんに出演していただいた『シーフードヌードル』のCMは終盤の食べカットがとても長いですよね。多くの視聴者は「一体いつ食べ終わるんだろう?」「放送事故じゃないか?」と感じたはずです。こうした違和感をあえて残すことで、日清食品らしい、独特のテンポがCMに生まれるんです。
― 今後の貴社の取り組み、コミュニケーション活動についてお聞かせください
 食品メーカーとして、「飽食による健康悪化」という世界が直面している課題の解決に挑んでいこうと、“完全栄養食”の開発を進めています。世界中を見渡しても、完全栄養食はまだ確立されておらず、味気なく、我慢して摂取しなければいけない補助食品的なものが大半です。日清食品が開発している完全栄養食は、ラーメン、カレー、とんかつなど、食欲を満たす食べごたえのあるメニューでありながら、カロリー、塩分、糖質、脂質をコントロールし、さらに、日本人の食事摂取基準にある33種の栄養素を、1食の中でバランスよく摂ることができるんです。
 完全栄養食のコミュニケーションも、日清食品らしい遊び心を大切にしながら、視聴者の方を驚かせるようなユニークなCMを考えていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
CMデータ(企業別)2020 年11月度〜 2021年10月度・集計
CM展開月数:12カ月/オンエア作品数:32作品/放送回数:5782回/CM好感度:1761.3P‰
関連データ

2021年度のテレビCMについてまとめたレポートをご用意しております。