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エステーとダイハツのCMが心をつかんだ理由
5月後期作品別CM好感度ランキング
東洋経済オンライン 2018年6月15日

期間中に放送された3228作品のうち、CM好感度1位に輝いたのはサントリー食品インターナショナル『伊右衛門』で、同銘柄としては初の総合1位となった。CMは"こころにざわつき"を抱えた現代人が江戸時代にタイムスリップし、本木雅弘・宮沢りえ演じる伊右衛門夫妻のもとを訪れるシリーズの第2弾。前作の草彅剛に続いて、今回はザ・ドリフターズから加藤茶、高木ブー、仲本工事の3名が出演した。

月夜の縁側に座った仲本が「8時か......」としみじみとつぶやき、「俺たち、誰かを笑わせてきたのかな」とこれまでを振り返ると、高木が「笑われてたりして」と物思いにふける。すると加藤が「いいんだよ。それならそれでよ」と自分たちらしさとして受け止め、傍らで見守っていた宮沢も微笑みながら同意。そして3人が商品を味わい、ホッとして心を軽くしていると、本木が戸を開けた勢いで彼らの頭の上に"たらい"が落ちてくるというドリフの定番のネタで締めた。

CM好感度を牽引したのは、30代以上の世代だ。「ほのぼのと渋い感じの展開も最後はたらいでドリフらしいお約束」「小さいときからの光景が久々に見られた。3人の会話内容が心にひびいた。」「初めて見たときしみじみいいなぁーと思っていたら!!! 上からタライが!!! 大笑いしてしまった。なつかしー!!!」など、悠々と流れる穏やかな時間からのコミカルなオチという展開が、幼い頃からザ・ドリフターズの笑いに親しんできた世代を喜ばせた。

【中略】

3期連続で総合トップ10入りを続けるエステーの防虫剤『ムシューダ』にも注目だ。5月前期調査で2011年8月前期の『消臭力』以来同社2度目の総合1位に輝き、続く5月後期はわずか13回という少ない放送回数ながらCM好感度では7位にランクイン。いかに効率よく視聴者にその存在を印象づけているかを物語っている。

CMは高橋愛とキャラクターの"ムッシュ熊雄"が「出て来なさい!そこにいるんでしょう!」とクローゼットに呼びかけるシーンに始まる。すると「♪ムッシッシ ムッシッシ」というBGMのもと、害虫に扮した白タイツ姿の人々が次々と飛び出してくる。最後は、戻ろうとする一人に高橋が「戻るな!」と一喝して締めくくった。 虫の中に泥棒が紛れていたり、アップテンポなBGMで虫が駆け足になるバージョンが存在したりといった遊びもありながら、伝えているのはシンプルに"ムシューダを使ってクローゼットの虫を追い出す"ということ。

同社は以前より、自由で奇抜なCMを作っては視聴者を楽しませてきたが、通信機器や環境の劇的な進化により、一般消費者も動画制作者として発信できる時代に変化した。そこでこのCMを「一億総製作者時代へのエステーの"ベタな挑戦状"」として、やろうと思えば誰でも作れる手法と規模を採用した、いわば"平場"での勝負に挑んだ。

その結果、CMに限らずハイクオリティな動画に日々多く触れている消費者からの反響は、前述の通り上々。モニターの感想に書かれているのも、「ベタでアナログで非常におもしろい」「ベタだけどおもしろくてわかりやすいCMだと思った」「シンプルでベタだけれど、かわいくていい演出だと思った」といった狙い通りの反応だ。

CGや特殊効果を使ったり、奇をてらったアイデアで話題を集めるCMも珍しくない中で、素のアイディアと素の制作方法でも、きっちりと心をつかむポイントをおさえてみせた。材料の足し算である「映像」を、メッセージを研ぎ澄ませ、感性という掛け算で「広告」に仕上げる。これが"プロの仕事"だろう。

【後略】


https://toyokeizai.net/articles/-/224905


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