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Leader's Interview 藤原彰二氏(株式会社出前館)


運営20年の安心感と親近感をアピール
“食のインフラ”の担い手を目指す

フードデリバリーサービスを手掛ける株式会社 出前館は浜田雅功が『スーダラ節』の替え歌でサービス名を印象づけるCMがロングヒットを記録し、CM開始から6カ月目の2021年1月度の商品別CM好感度では自己最高の総合3位にランクインした。広告戦略について、同社取締役/COOの藤原彰二氏にお話をうかがった。
(収録:2021年2月17日)
【 CM INDEX 2021年3月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
藤原彰二氏 株式会社出前館 取締役/COO
元キックボクサー。2006年からマーケターとしてのキャリアをスタートし、複数のWebコンサルティング会社で実務責任者を歴任。その後単身渡米し、O2O事業の投資とR&Dに従事。2015年LINE入社。ショッピング、グルメ、トラベルの領域で6サービスの立ち上げ推進、2000億円超の市場創造に貢献。LINE Pay CMOを経て、2020年より現職
出前館
「Demae-canの歌」篇(2020年7月3日オンエア開始)
「De」という電飾が輝くステージで、赤いはっぴを着た浜田雅功が『スーダラ節』のメロディーに合わせて「♪で、で、出前館、出前がスイスイスーイ 熱々 熱々届くよ出前がスイスイスーイ」などと歌いながら踊るCMだ。湯気の上るカツカレーやチーズインハンバーグのシズルカットに続いてユニフォーム姿の女性スタッフが自転車で注文者のもとへ向かう様子をインサートし、同サービスの特徴を印象づけた。

— 『出前館』のサービス内容や浜田雅功さんが出演するCMの企画意図についてお教えください
 出前館は宅配デリバリーサイトとして2000年にサービスを開始し、2017年からは配達機能を持たない飲食店の代わりに配達を担う「シェアリングデリバリー」をスタートしました。現在は39都道府県の5万5000店舗に導入いただき、600万人を超える会員が登録する日本最大級のフードデリバリーサービスとなっています。
 従来、我々のようなプラットフォーマーは訴求内容の差別化が難しいという理由からブランディングやCM展開に消極的でしたが、ユーザーを獲得するには指名検索数を増やさねばなりません。加えて近年は検索エンジンが自前で予約管理のサービスを提供するなど、競合企業や市場の変化が著しいことからブランド力の強化が必要だと判断し、2019年にリブランディングを行いました。
 そこでサービスを20年間継続してきたという安心感や親しみやすさを印象づけるため、CMには国民的な知名度と人気を誇る浜田雅功さんを“チーフ出前オフィサー”として起用しました。当初は浜田さんが「たまには出前でええやん」と呼びかけるCMを展開していましたが、特別なときだけでなく日頃から出前を利用していただくために、よりキャッチーな歌い込みのCMにクリエイティブを変更し、広く知られている『スーダラ節』の替え歌を歌っていただくことになったのです。CMで伝えることはサービス名である「出前館」と“熱々で届く”という2点に絞り、検索数の向上を狙いました。
 また浜田さんがユーザーの家に料理をお届けするCMは湯気の立ち上るラーメンをモチーフに、注文した商品が熱々で届くことを具体的に訴求しています。浜田さんが「出前館はきれいに配達するんです」とアピールするシーンには、配達サービスとしての品質の高さを印象づけるだけでなく、実際に働くスタッフに使命感や誇りを持ってほしいという思いも込めました。
— CM展開やクリエイティブで意識されていることは
 「出前館の人気店」というフレーズで生見愛瑠さんが地域の人気加盟店を紹介するCMは、飲食店関係者や加盟店の皆さまに向けて制作したものです。テロップやシズルカットを地域ごとに変え、これまで北海道、東京、神奈川、関西、福岡で放送しました。ローカルなテーマはウェブ広告ではよく見かけますが、広範囲で放送されるCMとしては斬新なアプローチだったかと思います。当社だけでなく加盟店の知名度も上がり、我々への注文も増えるというWin-Winの仕組みで、加盟店さんからはCMでの紹介を希望する声を多数いただきました。ユーザーにとっても地元の地名や具体的な店名が登場すると親近感を覚えますよね。ほかにも出前館でしか注文できないメニューを開発するなど、他社との差別化を図っております。加盟店向けとしてはスシローさんをはじめとしたカップリングCMや交通広告なども展開し、加盟店舗数を増やす取り組みを続けています。

食事時に合わせてCMをオンエア
指名検索数の増加を狙う

 CMは11時台や17〜19時台といった注文が集中する食事時の時間帯を狙って放送しています。なかでもピザは初回注文は多いもののリピート率が低いため、半額キャンペーンを毎月実施しています。CMは湘南乃風の『睡蓮花』の替え歌をバックにピザの映像とテロップで展開するもので、緊急事態宣言下の報道番組からヒントを得て画面にL字の帯を付け、新規ユーザー向けのクーポン情報を表示するフォーマットを採用しました。
 CMを放送した月は指名検索数が数十パーセント増加するなど、CMによる効果を実感しております。
— 今後のコミュニケーション活動について
 私たちのビジネスはタイミングが重要ですので、CMに限らず、よりライブ感のあるコミュニケーションを行っていきたいですね。昨年には配達時間短縮のためにオペレーション室を併設したデリバリー専門店『クラウドキッチン』をオープンしました。また将来的には自宅で地方の名店の料理が食べられるサービスを提供できればと考えています。コロナ禍の影響で加盟店の意識や温度感は大きく変わりましたし、中食需要が拡大を続けることは間違いありません。これからも地域に密着し、日常から非日常まであらゆるものを提供する「食のインフラ」を目指してまいります。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。